映画「オールド(Old)」のおすすめ度・感想/人間の怖さと時間のもたらすもの

「シックス・センス」で知られるM・ナイト・シャマランが手掛けたタイムスリラーです!

映画「オールド」のあらすじ

離婚の話を進める夫婦が2人の子供を連れて最後かもしれない家族旅行でリゾートへ。ホテルの人に特別に案内されたビーチで過ごしていると、6歳の息子の姿が見えなくなる。やっと母親が見つけた息子は11歳の青年へと成長していた。このビーチ、何かがおかしい。やはり、この旅行が家族全員揃う最後の旅行かもしれない。

映画「オールド」の作品情報

原題Old
製作年2021年
公開日2021年8月
上映時間108分
監督M・ナイト・シャマラン
脚本M・ナイト・シャマラン
キャストガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、アレックス・ウルフ他
製作国アメリカ

映画「オールド」の登場人物(キャスト)

監督(バスの運転手として出演):M・ナイト・シャマラン

映画「シックス・センス」で名を知られるシャラマン。実は作品に出たがりとのことでちょこっと出演しています。ホラー映画のレポを初回に出してなんですが、私はホラー系統が苦手なために彼の作品は初めましてでした。

ガイ(父):ガエル・ガルシア・ベルナル

一家の父であるガイは、ビーチで次々に起こる受け入れがたい出来事から逃げずに立ち向かいます。その姿には保険数理士(アクチュアリー)としての素晴らしい頭脳と良き父、そして良き夫としての精神的な強さも感じられました。

ガルシア・ベルナルはメキシコの俳優。役者の両親と幼いころから舞台に立っていたそう。「リメンバー・ミー」(2017)でヘクターの声を担当。

プリスカ(母):ヴィッキー・クリープス

プリスカは腹に腫瘍があることを理由に不倫を隠してガイと離婚しようとしており、そのためにこの旅行は最後の家族そろった旅行かもしれませんでした。博物館で働く彼女は人体と時間の関係についても知識があり、それがこのビーチで役立つことになります。

ヴィッキーはルクセンブルグ出身の俳優で、父親は映画配給会社のマネージャー。「ハンナ」(2011年)でハリウッドデビュー

トレント(息子):ノーラン・リバー(6歳)、ルカ・ファウスティーノ・ロドリゲス(11歳)、アレックス・ウルフ(15歳)、イーモン・エリオット(成人後)

マドックス(娘):アレクサ・スイントン(11歳)、トーマシン・マッケンジー(16歳)、エンベス・デイヴィッツ(成人後)

無邪気な6歳の弟トレントと11歳の姉マドックスはホテルで会った男の子”イドリブ”と仲良くなりますが、これが物語のカギにもなります。ビーチに行ってからも最も時の流れによる影響が顕著に見えるのが彼らであり、実際の主役と言える存在です。

トレントを演じた俳優は年齢に合わせて4人、マドックスは3人が演じていることも驚きです。複数の人が同じ役(であり、違うアイデンティティでもある)を演じることの難易度は非常に高そう。

映画「オールド」の見どころ

シャラマン作品と家族

彼の映画に出てくる子供たちは、自分のこともと同じ年齢。そして、この作品が出来たのも、シャラマンの3人の娘が原案であるフランスのグラフィックノベル『Sandcastle』を父の日にプレゼントしたことから始まっているそうです。

彼の父は認知症になり、世話をしてもらっていた人を気づいたら世話している。そんな不思議を映画として落とし込んでいる作品でもある。時間が急速に過ぎ去ることは一見破天荒なストーリーに思えますが、気づいたらもうこんな歳か…という経験が誰しもあるようにみ、誰もが共感できる題材でもあります。

コロナとハリケーンに振り回された撮影

本作品はコロナ禍に製作されました。よってキャスティングだけではなく様々な要素が”異例”でもあったそう。ビーチに隔離されて時間だけが経つ恐ろしさは、コロナ禍のロックダウンにより自宅待機していた時期を思い出させます。

そして、撮影時期はハリケーンシーズンに直撃。気づいたらセットが海に流されていたり、潮の満ち引きでシーンごとに差が出てしまったりと撮影はかなり難航したそう。(見ている間は綺麗なビーチにしか見えなかったので後から知ってびっくり)

しっかり伏線回収(ネタバレ要素あり)

・カクテル

リゾートについてすぐ、好みに合わせたというカクテルが振舞われます。夫婦が??という顔をするので何かあるんだな~とは思いますが、これが製薬会社の薬だったのかな?

・アメニティ

ホテルのアメニティに製薬会社の商品があることにガイが言及している場面があり、この会社が関わっている伏線ともとれます。

・イドリブの友達

ホテルマネージャーの甥であるイドリブは誰も友達がいないと悲しんでおり、マドックスとトレントもどうせ戻ってこないでしょ?と主張しています。姉弟はすぐに会えなくても友達だと返しますが、イドリブは彼らにもう会えない可能性が高いことを知っていたのでしょう。

・リゾートにいた警察官

ビーチに行く前、トレントがみんなに職業と名前を聞いて回ります。その中の1人に警察官がいました。二人がビーチから帰還した際は真っ先にその警察官にノートを渡すことが出来たおかげで製薬会社の悪事が明るみになります。

映画「オールド」の評価

映画「オールド」の個人的なおススメ度合いは★★★☆☆です!

ホラーが苦手な私でも楽しんで観られる程度の怖さなので、人と場面を選ばずに観られる気がします。テーマもざっくりは「人」と「時間」や「家族」など誰でも共感できる要素であることもおススメしやすい。最終的な結末も私は楽しんで観られるものでした。

一方で、前半から中盤にかけて少し中だるみした印象があります。なんだか単調な繰り返しに見える展開でもあったので始めのワクワクと終盤のドキドキ以外は退屈に感じてしまう人もいるかも。さらにホラーが好きな人からすると怖い要素や気味の悪さはもっと強く合っても良いのかな?というところで、★3。

映画「オールド」の感想

観終わった直後の感想としては、「おもしろ~~~~」でしたね。最後にかけて畳みかけるようにゾクゾクわくわくさせられました。

一方で、評価の部分でも書いたように若干中だるみしていた印象もあります。序盤では色々なものが伏線っぽいな、どういう展開になるんだろう♬とワクワク。しかし、ビーチについてからの中盤では、女性の死体が来た辺りではゾワっと怖さを感じつつも、なんかバタバタ人が死んで終わる感じか??と若干味気なく感じました。でも終盤になって急に脱出の回路が見えてきてどんでん返し!という急にまたドキドキさせられる展開は良かったです。

でも、両親が死ぬ前くらいから暗号を見つけて抜け出そうとしたけど夜で暗くなったり、狂人に襲われたり、老衰してしまったりとうまくいかずに、、、という展開の方がドキドキ時間が長くて楽しめそう。

人が死んでいく展開としても、病気やそれが元になった気狂い、老衰など現実的な亡くなり方をしていたのは面白い(という表現でいいのか?)のに、変に奇怪な動きをつけたり撮り方がされていることには違和感を感じました。もっと現実らしさを追求したホラーの方が個人的にはしっくりきます。が、ホラー作品に馴染みがないだけで馴染んでいる人からすると違和感はないのかも。

逆にリアリティを感じて一番グロテスクだと思ったのがカラの妊娠です。カラの異様に膨れたお腹に対して、食べすぎだと思っている子供たちの無邪気な様子と一瞬で事態を把握して顔がひきつる大人たちの対比にゾッとしました。こんな短時間で子供を作るなんて!と色々なベクトルで批判的な感情が浮かびましたが、それを怒ることが出来ない時間の問題。教育する時間がなかった。そして怒っている余裕もなく生まれてしまう。という緊迫した状況で咄嗟に動き出す大人たちやそこからの展開が現実と時間の早さという設定の両方を生々しく感じました。

このシーン以外でもそうですが、集まった人間は病気を抱えているだけでなく医療関係も含めて博識で頭の回転が速く、環境適応力や勇気を持ち合わせているという点も違和感はありました。(それでいてバタバタ死んでいくからやっぱりちょっと不満)

よって、ラストの面白さや時間の進みというトンチキに見えて共感しやすい題材という点においては一度観て楽しんで良い作品ではないかと思います!

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